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ゼウスは,プロメテウスに「粘土で,われわれと同じ姿をした生き物を作れ」と命じました。
プロメテウスが生き物を作ると,ゼウスが命を吹き込んで人間と名付けました。
つぎに,ゼウスは,プロメテウスに命じました。
「人間に,知恵を授けてやれ。ただし,火を使うことは教えるな。火はわれわれ神々だけの力だ」
プロメテウスは,人間に,生きるための知恵を授けました。
家や道具を作ること,穀物や家畜を育てること,言葉や文字を使うことなどなど。
しかし,火を使えないので,人間は,ものを焼くことも煮ることもできません。
人間は,寒さに震え,夜は動物に襲われる恐怖におびえていました。
そこで,プロメテウスは,人間に火を与えることにして,弟のエピメテウスに言いました。
「私は人間を愛している。だから,人間に火を与える。だが,ゼウスの怒りにふれて,滅ぼされるだろう。そのあとは,おまえが人間を見守ってくれ」
そして,プロメテウスは,太陽の神アポロン(鍛冶職人の神ヘパイストスという説もあります)から火を盗んで,人間に与えました。
こうして,人間は火を使うことを知ったのです。
怒ったゼウスは,プロメテウスを山につないで,ワシに肝臓を食べさせる,という罰を与えました。
プロメテウスは,不死身なので,ワシに肝臓を食べられても,翌日になると肝臓が再生します。
すると,またワシがやってきて,プロメテウスの再生した肝臓を食べます。
こうして,プロメテウスは,永遠の苦痛を与えられたのです。
(つづく)
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