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なら法律事務所
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9月22日,鎌仲ひとみ監督の映画「小さき声のカノン-選択する人々」を観るために,東大阪市岩田町に行く。
近鉄大和西大寺駅で普通電車に乗りかえて,30分ほどで若江岩田駅に着く。
早く着いたので,駅前の中華料理店で,炒飯と皿うどんを食べて,しばらく町を歩く。
居酒屋が目に付く。
古びた文化住宅がある。
岩田町は昭和のにおいがした。
駅の北側に「希来里」(きらり,と読む)という建物があって,その6階の「イコーラム ホール」が会場である。
ホールの定員は244人であるが,観客は半分くらい。
鎌仲ひとみさんの映画を観るのは初めてである。
上映時間は119分。
まったくダレルことのない2時間であった。
福島県二本松市とベラルーシを中心にして,原子力発電所の事故後,放射性物質で汚染された地域で生きる人々の姿と思いを記録している。
チェルノブイリ原子力発電所の4号炉が爆発したのが,1986年4月26日。
29年経った現在,事故後に生まれた子どもたちも放射性物質によって健康を損なっている。
ベラルーシの姿は,未来の福島の姿である。
福島県二本松市に残って,寺と幼稚園を続けている男性が,「おまえは,こどもたちを殺しているんじゃないか」と言われる,という話をする。
子どもたちの健康を害する危険を考えると,汚染された地域から避難した方がいい。
しかし,福島,茨城,千葉,栃木,群馬の放射性物質に汚染された地域から住民全員を避難させることは不可能だ。
苦悩は深い。
原子力という「パンドラの箱」を開けたために,放射性物質という悪が世界に瀰漫した。
ギリシア神話では,エピメテウスは,パンドラの懇願に折れて,黄金の箱をあける。
箱をあけたとたん,箱の中から,病気,盗み,ねたみ,憎しみ,悪だくみなどのあらゆる悪が人間の世界に飛び出した。
エピメテウスがあわててふたを閉めると,箱の中から弱々しい声がする。
「わたしも外へ出してください・・・」
パンドラが「おまえは,だれなの?」とたずねると,箱の中から声が返ってきた。
「わたしは,希望です」
「カノン(canon) は,複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する様式の曲を指す。」(Wikipedia)
福島,北海道,ベラルーシで,子どもたちを被爆から守る人々が奏でるのは「希望」という旋律である。
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