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キンシャサの奇跡 ☆ あさもりのりひこ No.287

1974年10月30日、アフリカのザイール共和国(現在のコンゴ民主共和国)の首都キンシャサで、プロボクシングWBAWBC世界統一ヘビー級タイトルマッチが行われた。

チャンピオンはジョージ・フォアマン、挑戦者はモハメド・アリである。

 

当時、アリは32才、戦績は46戦44勝32KO2敗。

アリは、1964年にソニー・リストンを破って世界ヘビー級チャンピオンになり、王座を9度防衛した。

しかし、アリは、1967年、ベトナム戦争の兵役拒否で王座を剥奪され、ブランクをつくった後、1970年にボクシング界に復帰した。

復帰後、アリは、1971年にジョー・フレージャーに判定で敗れ、1973年にケン・ノートンに判定で敗れていた。

 

一方、フォアマンは25才、戦績は40戦40勝37KO、3度目の王座防衛戦であった。

フォアマンは、ジョー・フレージャーを2ラウンドKOで破ってヘビー級チャンピオンになり、2度目の防衛戦では、ケン・ノートンを2ラウンドでKOしていた。

フォアマンの並外れたパンチ力は「象をも倒す」と言われた。

 

フォアマンは、このタイトルマッチ前の2年間に7人の対戦相手をすべて2ラウンド以内にKOしていた。

破竹の勢いで対戦相手をマットに沈めてきた若きチャンピオンと、全盛期を過ぎた過去の英雄の対戦は、フォアマンが圧倒的に有利だと思われた。

アリは足を使ってアウトボクシングをしようとするだろうが、フォアマンに捕まって、ノックアウトされるだろうと。

 

第1ラウンド、アリは「蝶のように舞い、蜂のように刺す」といわれたフットワークを使って、動きながら速いジャブを突いて距離を取ろうとする。

動くアリをフォアマンが追う、という予想された展開になる。

 

ところが、第2ラウンドになると、アリの足が止まり、フォアマンがアリをロープに詰めてパンチを振るう展開に変わる。

第3ラウンド、第4ラウンドとアリがロープを背負い、フォアマンがパンチを振るうという同じような展開。

フォアマンが力任せにフックを振ってくるのを、アリはよく見てブロックしている。

時折繰り出すアリのワン・ツーが速い。

 

第5ラウンド、残り30秒のあたりで、ロープに追い込まれていたアリが素早いワン・ツーを的確に繰り出して攻勢に出る。

アリは明らかに勝負をかけてきたが、ここはフォアマンが反撃してゴングが鳴る。

 

第6ラウンド、第7ラウンドとフォアマンのスタミナが切れて、疲れが見えてくる。

アリは、ときおりジャブをついて、フォアマンのパンチはブロックしている。

 

第8ラウンド、フォアマンがパンチを振るってアリをロープに詰めるシーンが続くが、フォアマンのパンチにパワーがなくなっている。

このラウンドも残り20秒となったとき、コーナーに詰まっていたアリの右ストレートがフォアマンの頭部にヒットする。

フォアマンがぐらついたのをアリは見逃さなかった。

アリは一転して攻勢に転じ、高速のワン・ツーをフォアマンにみまい、最後は右ストレートでフォアマンをマットに沈めた。

疲労困憊したフォアマンは、テンカウント以内に立ち上げることができなかった。

モハメド・アリが逆転KOで無敵のジョージ・フォアマンを破り、世界ヘビー級チャンピオンに返り咲いたこの一戦は「キンシャサの奇跡」と呼ばれた。

 

キンシャサの奇跡から42年になる。

モハメド・アリは今年6月3日に亡くなった。

 

偉大なボクサーの冥福を祈る。