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1974年10月30日、アフリカのザイール共和国(現在のコンゴ民主共和国)の首都キンシャサで、プロボクシングWBA・WBC世界統一ヘビー級タイトルマッチが行われた。
チャンピオンはジョージ・フォアマン、挑戦者はモハメド・アリである。
当時、アリは32才、戦績は46戦44勝32KO2敗。
アリは、1964年にソニー・リストンを破って世界ヘビー級チャンピオンになり、王座を9度防衛した。
しかし、アリは、1967年、ベトナム戦争の兵役拒否で王座を剥奪され、ブランクをつくった後、1970年にボクシング界に復帰した。
復帰後、アリは、1971年にジョー・フレージャーに判定で敗れ、1973年にケン・ノートンに判定で敗れていた。
一方、フォアマンは25才、戦績は40戦40勝37KO、3度目の王座防衛戦であった。
フォアマンは、ジョー・フレージャーを2ラウンドKOで破ってヘビー級チャンピオンになり、2度目の防衛戦では、ケン・ノートンを2ラウンドでKOしていた。
フォアマンの並外れたパンチ力は「象をも倒す」と言われた。
フォアマンは、このタイトルマッチ前の2年間に7人の対戦相手をすべて2ラウンド以内にKOしていた。
破竹の勢いで対戦相手をマットに沈めてきた若きチャンピオンと、全盛期を過ぎた過去の英雄の対戦は、フォアマンが圧倒的に有利だと思われた。
アリは足を使ってアウトボクシングをしようとするだろうが、フォアマンに捕まって、ノックアウトされるだろうと。
第1ラウンド、アリは「蝶のように舞い、蜂のように刺す」といわれたフットワークを使って、動きながら速いジャブを突いて距離を取ろうとする。
動くアリをフォアマンが追う、という予想された展開になる。
ところが、第2ラウンドになると、アリの足が止まり、フォアマンがアリをロープに詰めてパンチを振るう展開に変わる。
第3ラウンド、第4ラウンドとアリがロープを背負い、フォアマンがパンチを振るうという同じような展開。
フォアマンが力任せにフックを振ってくるのを、アリはよく見てブロックしている。
時折繰り出すアリのワン・ツーが速い。
第5ラウンド、残り30秒のあたりで、ロープに追い込まれていたアリが素早いワン・ツーを的確に繰り出して攻勢に出る。
アリは明らかに勝負をかけてきたが、ここはフォアマンが反撃してゴングが鳴る。
第6ラウンド、第7ラウンドとフォアマンのスタミナが切れて、疲れが見えてくる。
アリは、ときおりジャブをついて、フォアマンのパンチはブロックしている。
第8ラウンド、フォアマンがパンチを振るってアリをロープに詰めるシーンが続くが、フォアマンのパンチにパワーがなくなっている。
このラウンドも残り20秒となったとき、コーナーに詰まっていたアリの右ストレートがフォアマンの頭部にヒットする。
フォアマンがぐらついたのをアリは見逃さなかった。
アリは一転して攻勢に転じ、高速のワン・ツーをフォアマンにみまい、最後は右ストレートでフォアマンをマットに沈めた。
疲労困憊したフォアマンは、テンカウント以内に立ち上げることができなかった。
モハメド・アリが逆転KOで無敵のジョージ・フォアマンを破り、世界ヘビー級チャンピオンに返り咲いたこの一戦は「キンシャサの奇跡」と呼ばれた。
キンシャサの奇跡から42年になる。
モハメド・アリは今年6月3日に亡くなった。
偉大なボクサーの冥福を祈る。
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