ふたりの村田　☆　あさもりのりひこ　No.４８７

２０１７年１０月２２日、村田諒太はアッサン・エンダム（ハッサン・ヌダム・ヌジカム）を７回終了TKOで破って、WBA世界ミドル級チャンピオンになった。

２０１８年春には初防衛戦が予定されている。

村田諒太のボクシングに注目している。

 

３７年前、世界タイトルに挑戦したもうひとりの村田がいた。

村田英次郎（金子ジム）である。

１９７８年１２月、村田英次郎は、東洋太平洋バンタム級王座を獲得して、東洋では無敵のバンタム級のボクサーであった。

 

１９８０年６月、村田英次郎は、WBCバンタム級王者ルペ・ピントール（メキシコ）に挑戦する。

ルペ・ピントールは、伝説のKOキング、カルロス・サラテを破ってチャンピオンになった強打者である。

村田英次郎は、ルペ・ピントールと１５ラウンド打ち合った。

判定は、引き分け。

村田英次郎は、強打のルペ・ピントールと互角に戦ったのである。

 

１９８１年４月、村田英次郎は、WBAバンタム級王者ジェフ・チャンドラー（アメリカ）に挑戦する。

ジェフ・チャンドラーはテクニシャンの巧者であった。

第１ラウンド後半、村田英次郎の右ストレートがヒットして、ジェフ・チャンドラーはロープまで吹っ飛んだ。

ロープがなければダウンしていただろう。

村田英次郎は、ラッシュするが、ジェフ・チャンドラーは決定打を許さなかった。

第１ラウンドに村田英次郎の右ストレートを「もらった」ために、ジェフ・チャンドラーは戦法を変えて、打ち合いを避け、アウトボクシングに徹して、１５ラウンドが経過する。

判定は、引き分け。

 

村田英次郎は、かつて「黄金のバンタム」といわれたメジャーのクラスで、強いチャンピオン２人と戦い、ふたりと引き分けた。

世界チャンピオンと同じ力を持っていた、ということである。

 

その後、ジェフ・チャンドラーと再戦した村田英次郎は１３ラウンドＴＫＯ負けで敗れる。

村田英次郎は、世界チャンピオンと同等の力を持ちながら、世界チャンピオンになることはできなかった。

 

村田諒太は、２度目の挑戦で世界チャンピオンに輝いた。

日本人で２人目の世界ミドル級王者である。

まだ、世界ミドル級タイトルを防衛した日本人チャンピオンはいない。

 

村田諒太が初防衛することを期待する。