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UTMFサポート(後編) ☆ あさもりのりひこ No.664

2019年4月27日(土)、UTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)の2日目である。

 

宿からA4精進湖民宿村に向かってプリウスαを走らせる。

夜明け前で辺りは暗い。

道路の舗道に光が見える。

何だろうと思っていると、ランナーたちである。

みなヘッドライトを付けて走っているのだ。

真っ暗な上り坂をヘッドライトの灯りが延々と続いている。

一晩走り続けてきたのだ。

すごい!

 

A4精進湖民宿村は78㎞地点である。

小学校の跡地がサポートエリアになっている。

校舎の壁際にシートを敷いて、荷物を置く。

雨は上がった。

富士山が見える。

 

夜明けで身体が冷えているだろうから、暖かい粥を用意する。

サポートエリアによっては、火気の使用が許されているところがある。

A4精進湖民宿村は火気を使用できるので、カセットコンロや登山用の小さなコンロで食べ物や飲み物を温めているサポーターが散見される。

朝守は防災用品である加熱袋を用意していた。

厚手のビニール袋に、乾燥剤のような袋を入れ、食品を入れて、水を加えると暖まる、というものである。

乾燥剤のような薬剤を入れて、粥のパックを入れて、水を加えて、ビニール袋を綴じると、上部に穿たれた穴から勢いよく湯気が噴き出していくる。

けっこう湯気が吹き出るので、周りのサポーターの人々が「なんや?」という目でこっちを興味深げに見ている。

20分ほどで粥は熱々になった。

 

待つこと3時間、サポートするランナーが現れる。

まだ、元気そうである。

椅子に座らせて、バスタオルを肩に掛け、粥を渡す。

美味しそうに食べている。

宿で淹れた暖かい「柿の葉茶」を飲ませる。

ザックのゴミを捨て、飲み物をチェックする。

彼女は、粥をワンパック平らげてしまった。

電池を探したがバッグのどこに入れたのか見つからない。

すぐには必要ないので、見つけるか、買うか、することにする。

35分ほどで彼女は出発した。

後で聞いた話しによると、一晩寝ていないところに、暖かい粥をたっぷり食べたので、彼女はこの後、猛烈な「眠気」に襲われたそうである。

 

帰りにコンビニで朝飯の食糧を買う。

UTMFと書かれたチョッキを着たスタッフの女性が買い物をしている。

挨拶すると、一晩中、山に立ってコースの案内をしていたそうで、これからA5勝山に行くという。

 

一旦、宿に戻ると、朝食を用意してくれるという。

ありがたく朝食をいただく。

彼女の息子が、残ったご飯を「おにぎり」にする。

コンビニで買った食糧は昼飯にする。

荷物を全部、部屋に持って上がって、チェックして整理する。

電池はバッグの隅に見つかった。

 

午前9時30分くらいに宿を出て、A5勝山に向かう。

宿から一番近いエイドである。

10分ほどでA5勝山に着いたが、渋滞している。

え?

渋滞でほとんど車が動かない。

サポートするランナーから電話が入る。

「どこにいてんの!」

ヒェ~、ということで、彼女の息子が荷物を持ってサポートエリアに走る。

小学校の校庭が駐車場で、校庭の半分くらいに車が駐めてある。

しかし、小学校の周りを一周しても入り口がない!

しかたがないので、大会関係者用の駐車場の列に並ぶ。

あと1台で駐車できるところまできて、大会スタッフのおじさんから、サポーター用の駐車場に駐めるように促される。

小学校に駐めたいが入り口がないことを告げると、おじさんは小学校の方向へ走っていった。

おじさんは、ほどなく戻ってきて、入れるように言ってきた、という。

大会関係者用の駐車場を出て、小学校へ行くと、別のスタッフがいて、小学校の校庭は半分しか借りていないので、これ以上駐められない、という。

やれやれ。

仕方がないので、あてもなくソロソロと彷徨っていると、広い道路の脇に解体されたガソリンスタンドの跡地がある。

ロープも何も張っていない。

短時間駐車させてもらうことにする。

 歩いてサポートエリアまで行くと、彼女の息子がサポートを終えて、荷物をまとめて待っていた。

わがランナーは「おにぎり」をうまそうに食べて、出発したという。

少し弱気になっていたので、励まして送り出したそうな。

 

 A5勝山を午前11時30分ころに出て、A7山中湖きららに向かう。

午前12時すぎにはA7山中湖きららに着く。

どんよりと曇っている。

駐車場にプリウスαを駐めて、車内で昼飯を喰う。

 サポートするランナーが来るまで、まだだいぶ時間があるので、少し眠ることにする。

  

午後3時ころに目覚めると、フロントガラスに白いものが当たっている。

雪だ!

 ガラスが曇っているのでデフロスターをかけるが、曇りは取れない。

雪はやがて雨に変わった。

 車を出て、傘を差して、雨の降る中を、トイレを使うついでに、サポートエリアの様子を見に行く。

  

サポートエリアに近づくと誰かが拡声器で何かしゃべっている。

よく聞き取れないので、サポーターやスタッフがたむろしているところに行って様子を窺う。

「中止だって」

という言葉が耳に入る。

すぐに意味が理解できない。

天候が悪化して、A8二十曲峠から杓子山が積雪で危険なのでレースは中止された、ということらしい。

 

急いで車に戻ると、彼女の息子はレースの中止を知っていた。

 彼女から電話があり、レースが中止になって、A6忍野にいるので迎えに来てほしい、ということだ。

資料でA6忍野の場所を確認して、ナビに打ち込んで、A6忍野へ向かう。

 

午後4時ころ、A6忍野に着くが、ここは本来サポートが許可されていないエイドである。

サポーター用の駐車場は用意されていない。

大会関係者用の駐車場にプリウスαを駐める。

ここまで来たら、われわれも「大会関係者」である。

ほどなくサポートするランナーを見つけて「回収」する。

彼女は、午後3時16分にA6忍野に着いたところで、大会中止を知らされたらしい。

 

こうして、2019年のUTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)はA6忍野(114㎞)で終わった。