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内田樹さんの「日本共産党創建100年に寄せて」 ☆ あさもりのりひこ No.1197

日本共産党創建百年は一つの「偉業」である。同一の政党が100年歴史の風雪に耐えて生き抜いたということは世界史的に見ても例外的なことだからだ。それが可能であったのはなぜか。

 

 

2022年6月27日の内田樹さんの論考「日本共産党創建100年に寄せて」をご紹介する。

どおぞ。

 

 

日本共産党から創建100周年を迎えるにあたってコメントを求められたので、こんなことを書いて送った。 

 

 日本共産党創建百年は一つの「偉業」である。同一の政党が100年歴史の風雪に耐えて生き抜いたということは世界史的に見ても例外的なことだからだ。それが可能であったのはなぜか。共産党への個人的な賛否好悪の立場を脇に置いて、その問いに向き合うことが私たちには必要だと思う。

 日本共産党という党名を変更すべきだという議論がある。私は党名変更には反対である。別に「老舗の暖簾」に価値があると思っているからではない。共産党を名乗る政党は20世紀に世界中に存在した。その興亡と遷移を観察する「比較共産党史」が近代政治史の重要分野だと思うからである。

 ロシア革命後、アジアにはインドネシア共産党、中国共産党、日本共産党、高麗共産党、ベトナム共産党が次々と建党された。その中で今も存続し、「マルクス主義政党」を名乗れる政党がいくつあるか。

 日本共産党はその中にあって例外的に弾圧を生き残り、マルクス主義政党であり続けた。なぜそれが可能だったのか。これは容易には答えることができない問いである。しかし、この問いと本格的に対決しない限り、近代日本の政治史を語ったことにはならないと私は思う。